養鶏(ブロイラー)業界に興味がある方必見!
本ブログでは、養鶏(ブロイラー)経営者が一日に行う業務内容を具体的に紹介します。
鶏舎の管理、飼料の配給、健康チェック、環境調整など、日々の世話と運営に欠かせないタスクを一挙公開!
平常時の業務の流れや鶏の飼育ポイントをお伝えします。養鶏(ブロイラー)業界に足を踏み入れたい方や経営者の方々にとって、必読の情報が満載です。
養鶏の作業内容は季節や入雛直後なのか出荷直前なのか、空舎期間中なのかでだいぶ違いますので鶏が14日齢~43日齢頃の平常時(夏・秋を除く)に絞っています。
正直なところ、農場の規模や人員数などによっても変わります。私の場合(夫婦経営、総羽数約3万6000羽)であることをご了承くださいm(__)m
『ブロイラーとは何か?』や『業務の全体的な流れ』を知りたいお方はこちら↓の記事も参考に!
養鶏(ブロイラー)とは?経営者が説明する基礎知識ブログ(入雛から出荷まで) | 太陽の本棚 (chunky-nestled.com)

午前の業務
見回り(一回目) 7:30 ~ 8:00
起床は 7:00 頃です。
家から車で10分程で到着です。
事務所で着替えを済ませたら見回り(一回目)を始めます。
毎朝、この時には「何事もありませんように~!」と祈る気持ちで鶏舎に入ります。
トラブルって不思議なもので、大体夜中に起こっているんです・・・。○| ̄|_
確認事項は以下の通りです。
- 飼料の配給確認と給餌機の動作確認
- 舎内の温度確認
- 鶏の様子確認(分布、摂食、摂水)
飼料の配給確認と給餌機の動作確認

私の農場では飼料の配給は深夜(AM1:30~2:30)に来る事が多いです。
まずは飼料の配給確認です。予定通りの配給が済んでいるか伝票と飼料タンクを確認します。
次に舎内のエサ皿にしっかりと餌が供給されているか目視確認をします。
餌には油分が含まれているので吐出口で詰まることがあります。
舎内の温度確認
鶏は日齢(入雛・出生からの経過日数)によって適温帯が変わります。
舎内に設置された温度計を確認し、今後の管理スケジュールの参考にします。
鶏の様子確認(分布、摂食、摂水)
全体的な鶏の様子を目視確認します。
水は飲んでいるか、餌はしっかり食べているか、分布(鶏の散らばり具合)はどうかなどです。
具体的に数値化しているわけではありませんので、普段と比較しています。
普段と比較する事で、何らかの異常に気付けることがあります。
例として、餌詰まりやニップル割れによる水溜まり、入気板の落下や暖房器具の不具合です。
事務作業(小休憩) 8:00 ~ 9:30

特に異常がなければ事務所に戻り、事務作業を済ませます。
- 消毒液の在庫確認やプリンターのインク、鶏舎内の消耗品の在庫確認。
- 餌の残量を調べ、必要であれば発注。
- 自作した鶏舎の管理スケジュール表をもとに、温度設定(換気扇の稼働基準値)の変更や入気口の開度変更計画を再確認。
以上を済ませたらコーヒーを入れ、一息つきます。
9:00頃になると子供たちを見送って家事を済ませた妻が農場に到着します。(笑)
「本日の作業内容」を打ち合わせし、支度を済ませたら二度目の見回りです。
見回り(二回目) 9:30 ~ 12:00
二回目の見回りでは主に以下の事をします。
- 給水機の動作確認
- 鶏舎内の環境確認・調整
- 鶏の健康チェック・死鶏数のメモ・回収
- 各種設備の点検・修理・交換
給水機の動作確認
鶏はニップルと呼ばれている給水口から摂水します。
このニップルは消耗品なので老朽化すると故障します。故障内容として多いのは、割れです。
正常時は鶏がつつくと水が出る仕組みなのですが、割れると水が出続けてしまいます。
また、何らかの原因で給水ラインに空気がかんでしまい通水していない事もあるので日々の動作確認は必須です。
↓給水ライン

鶏舎内の環境確認・調整
鶏舎内の空気の質(見た目、匂い、湿度)、温度に意識をおきながら見回ります。
悪いと判断した時にどう対処するのかは腕の見せ所です。
入気口の開度や入気角度、舎内温度、換気扇の稼働台数、暖房器具(ブルーダー)の火力など、外気(季節・天候)とのバランスが重要になってきます。
基本的には管理スケジュール表を参考に行い、日々の記録や経験をもとに微調整を行います。
鶏の健康チェック・死鶏数の記録、回収

鶏の健康チェック
鶏の健康状態は目視で把握するのは難しいですが、観察ポイントとして3つ程あります。
一つ目は目の色です。舎内の空気が悪いと鶏の目が充血してきます。自分の目も痛いような状態は問題外ですが、ある程度の目安になります。
二つ目は呼吸です。大腸菌症という病気の初期症状として元気の消失、呼吸が乱れていき軟便になり羽毛が逆立ってきます。
三つ目は足の裏です。床には敷料(オガ)を撒いて飼育していますが、鶏糞や給水機からのこぼれ水、湿気の影響で状態が変わります。床の状態が悪いと鶏の足裏にカサブタのようなものが出てしまいます。
上記3つの確認からも舎内環境の良し悪しの情報を得ることができ、環境調整の参考にします。
死鶏数の記録、回収
作業日報への記入用に死鶏数と状態を記録します。
同時に回収し、一旦死鶏置き場で保管します。後日専門の業者に回収していただきます。
死鶏の状態・増減記録表は鶏の健康状態を把握するうえで重要な資料になります。
観察し傾向を予測することで、スケジュールを前倒したり延期したりする判断材料にもなります。
腹水症や大腸菌症などの早期発見にもつながり、必要に応じて投薬します。
投薬には獣医の診断書が必要になるので、担当者への連絡も必要です。
また、死鶏の数が過去二週間の平均と比べて倍以上に増加した場合は家畜保健衛生所への連絡が義務付けられています。
各種設備の点検・修理・交換
給水口のニップルや給餌機に使用しているワイヤー、舎内の電球など、消耗品の交換を適宜行います。
何か機械トラブルがある時はこの時間帯に対応します。
迅速な修理、交換が余計なトラブルを防ぐのに最も大切だと痛感しております。(笑)
「明日やろうは馬鹿やろう」なんて言いますが、うまい事言うなぁと思いました。(/ω\)
午後の業務

昼休み・外出 12:00 ~ 13:30
昼食後、一息いれてから、作業着の洗濯や備品の買い出しにいきます。
ある程度はまとめて購入しており、買い出しの手間を減らしているので毎日ではありません。
大体の備品はAmazonや楽天で購入してしまいます。
各種振込などもこの時間帯を使って済ませます。
作業の続き 13:30 ~ 15:30

午前中の作業の続きです。鶏舎内の環境調整には意外と時間がかかります。
入気口の開度調整、換気扇の稼働、暖房器具(ブルーダー)の火力調整が主な内容ですが、丁度良さそうな状態にもっていくまでには繰り返しの点検、調整が必要になります。
何を増やして何を減らすのか。日中と夜間で状況は変わります。鶏が快適に過ごせる温度帯のまま、換気量は十分確保するという事が何年経ってもなかなか難しいものです。
この作業が成長に対して遅れる(不足する)と鶏が病気になってしまう原因になりますので、計画段階で熟考します。
小休憩 15:30 ~ 16:00
ここまでの作業進捗を記帳します。一日の『報連相』を済ませたら妻は帰宅です。
平常時の一日の業務としては、基本的にここでキリになります。
夏の暑い時期では『細霧』を舎内で出し室温を下げます。その場合は、貯水槽への供給量や残量確認をする必要があり、この時間帯で行います。
農場内の修繕・衛生管理 16:00 ~ 17:30
草刈り、踏み込み層、車両消毒棟、防鳥ネット、石灰散布など、農場内では衛生管理の徹底をしています。消毒液の交換や補充、現状確認などは日々必要です。
休憩・一時帰宅・夕飯 17:30 ~ 21:00
ここで一旦帰宅します。
夕飯を済ませ、子供達と少し遊んだら戻ります・・・。
夜間業務

見回り(三回目) 21:00 ~ 21:30
給餌機、給水機の動作確認が主な目的です。
冬場は室温や暖房器具の火力確認・微調整をする事が大切になってきます。入換気設備は外気とのバランスが重要になり、日中と夜間では気温差に合わせて調整しています。
各種記帳 21:30 ~ 22:00
作業日報へ進捗状況や死鶏状態・数などの各種記帳を仕上げます。また管理スケジュールも週間天気予報などを参考に予測し、見直します。
帰宅 22:00 ~ 23:00
多少の前後はありますが、平常時はこのくらいの時間には帰宅しています。
基本的にこの業界で個人経営していると『休日』はありません。(笑)
しかし、業務のスケジュールはある程度の融通がききます。
空いた時間で趣味を楽しむこともでき、充実した日々を過ごしています。